李登輝氏、司馬遼太郎氏の墓前であいさつ 日本訪問終える
台湾の李登輝前総統(81)は2日午後、7日間の日本訪問を終え、関西空港から台北に向け出発した。
李氏は「家族旅行」の締めくくりとして同日午前訪問した西本願寺大谷本廟(京都市東山区)にある小説家、故司馬遼太郎氏の墓前で、報道陣に「わたしの日本訪問はこれで終わります」などと日本語であいさつ文を読み上げ、日本政府の対応などに感謝の意を表した。
さらに今回の旅行が「日台両国の静かで強いきずなになれば成功だと思う」と話し、「日本がますます国際的に、アジアで最も発展するような国になるよう祈っております」と締めくくった。
今回の来日をめぐっては、中国政府が「言動を注意深く見守る」とけん制。李氏は日本側が入国査証(ビザ)発給の際に出した「記者会見しない」などの条件を守り、台湾メディアからは「沈黙の旅」とやゆされた。
李氏の来日は治療目的で大阪、岡山を訪問した2001年4月以来3年8カ月ぶり。12月27日に名古屋から入国し、金沢、京都、滋賀を回り、兼六園や母校の京大などを訪れ、京大時代の恩師とも再会した。
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李登輝氏が2日読み上げたあいさつの要旨は次の通り。
一、帰国するに当たりあらためて日本政府、および国民の皆さまが旅行中に与えてくれました親切なおもてなし、ご配慮に心から感謝の意を表します。
一、短期間でしたが、日本の文化、国民の生活を実地に見ることができたこと、わたしにとってかなりの収穫が得られました。進歩の中に伝統が失われずに維持されているのを強く感じました。帰国してからゆっくり吟味し、勉強するつもりです。
一、日台両国の静かな強いきずなになれたら、このたびの旅行は成功だと思います。日本がますます国際的に、またアジアでも最も発展するよう祈っています。さようなら。
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≪李登輝氏訪日中の足取り≫
2004年12月27日 名古屋空港へ到着
28 李氏が学徒出陣で陸軍に入隊し、終戦を迎えた思い出の地、名古屋観光
29 金沢観光、和倉温泉(石川県)泊
30 能登半島めぐり。西田幾多郎記念哲学館を見学、台湾の水利施設建設に貢献した故八田与一氏の生家訪問
31 京都で京大生時代の恩師柏祐賢氏と61年ぶりに再会
2005年1月1日 琵琶湖湖畔観光
2 京都で司馬遼太郎氏の墓参り、関西空港から離日
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台湾の李登輝前総統(81)は2日、中国の圧力に屈せず来日を認めた日本政府の「誠意」に応え、一切の政治活動を控えたまま1週間の来日日程を終えた。離日前「日台両国の静かな強いきずなになれば、今回の旅行は成功」と強調し、日台関係強化への決意を新たにした李氏。ただ、日本政府の対中配慮から、李氏が望む将来の「東京訪問のハードルは高い」(関係者)。今後も度々来日し「日台関係の春」(側近)を招き寄せることができるのか。李氏の「旅」はまだ始まったばかりといえそうだ。
▽台湾人意識
「進歩の中で伝統を失っていない日本社会に強く何かを感じている。帰ってから、じっくり勉強する」「日本の秩序は優れており、台湾が新たな国家をつくる際に(モデルとして)大きな助けになる」。李氏は京都でのメディアとの短い懇談でこう語り、日本社会を高く評価し、「台湾国づくり」のモデルとする考えを示した。
「単なるセンチメンタルジャーニーではなく、思索の旅だった」。敬愛する哲学者の西田幾多郎や鈴木大拙の出身地、石川県や母校の京大がある京都を訪ねた李氏の旅行を側近はこう表現した。「22歳まで日本人だった」という李氏は自らの思想形成の原点を訪ね、持論である「台湾のアイデンティティー確立」の重要さをあらためて認識したという。
ある日本側関係者は「李氏は治療目的に限定された2001年の来日に比べ自由な旅で、青春時代を過ごした日本の良さも再認識した」とみる。
▽元首並みの警護
台北から名古屋への機中、中国の王毅駐日大使の李氏に対する「戦争メーカー」発言について「中国は強国だから大きなことを言ってもいいと考えているが日本人や国際社会はあざ笑っている」と痛烈に批判したが、到着後は政治的発言を控え、台湾紙に「沈黙の旅」と酷評された。
訪問先の各地で、台湾出身の在日華僑や留学生のほか、李氏を支持する日本人グループの歓迎を受けた李氏だが、日本政府の出した来日の条件(1)記者会見しない(2)講演しない(3)政治家と会わない−の「3つのノー」を固く守り続けた。
日本側もまた、李氏をまるで「国家元首」のように手厚く警護、突撃取材を試みる台湾や日本のメディアをシャットアウトした。「滞在中の政治的活動を許さない」とくぎを刺した中国側が、派手な報道に反発し「2度と来日できなくなる事態を避ける」(関係者)ためだった。
中国側は「滞在中の言動を注視する」と強くけん制していたが、李氏の慎重な対応から、対日報復措置はとれず、訪日批判も収束せざるを得ないだろう。
▽再来日に意欲
小泉純一郎首相の靖国神社参拝への中国当局の非難などで"嫌中感情"を強める世論を背景に李氏を「対中けん制カード」にしようとの日本側の思惑もちらつく。国際社会での存在感向上を目指しながら、切り札に欠ける台湾にとっても、知名度が高い李氏の訪日を恒常化させ、日台関係強化につなげたいとの思いがある。
李氏もそうした政治的効果を計算に入れているようで、離日を前に「日本がアジアで最も発展する国になるよう祈っている」とエールを送るとともに「近いうちに再訪日か」との記者団の質問に日本語で「そうね。できたら」と答え、次回の来日に意欲を示した。
(共同)
(01/02 18:07)
[01月02日18時07分更新]
引用元:共同通信(産経)
〜コメント〜
普段、政府からの取材や報道自粛の呼びかけに、報道統制だと強く反発を示していたマスメディアですが、今回の李登輝氏の訪日についての自粛要請には黙って応じるのですね。
結局は日本の国家権力は恐くないが、中国の権力には恐々としか対応できていないという事ですかね。
李登輝氏の門前払いにより京都大学の自治権の濫用が問題点として周知され、日本にとっては意義が有った訪日となりましたが、李氏に対する無礼な対応には申し訳ないとしか言い様が有りません。
学問の場に政治を持ち込まないのは重要な事で有るのでしょうが、また京大に限った事ではありませんが、自衛官の講演を直前に中止(※1)したり、江沢民氏の講演は実施(※2)したりと、最近の大学には政治色が満ちている様に思えてなりません。
日本の学問は、どこへ向かって進んでいるのでしょうか?
※1:国内:今度は筑波で教組が言論の自由を侵害する
※1:自衛官の講演を拒否した大学の不思議
※1:早大当局がイラク派遣自衛官の招へいを断念
※2:江沢民主席の講演中に抗議した学生三名が逮捕される
※2:江沢民講演会で逮捕された学生が釈放される
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- 参考
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