政治的なリスクはあっても・・・
中国の魅力に屈する日本株式会社
■上海でも甘くない緑茶や麦茶が買えるようになった
中略
■反日デモが起きても、対中投資は減らなかった
広東社会における日本の勢力拡大を見て驚く人もいるかもしれない。2005年4月に中国全土で広がった反日デモが記憶に新しいからだ。当時、中国各地で日本人経営の工場や領事館、料理店などが投石デモの標的となる中で、日本の投資家がベトナムなどの低コスト生産拠点に逃げてしまうのではないかという懸念がわき起こった。
それから2年、日本の対中国投資はほとんど息継ぎさえしなかったことが分かる。もっとも各種調査によると、低コスト型の日本メーカーの中には、(反日デモの影響というより)珠江デルタ一帯の賃金上昇を嫌って、生産拠点をベトナムに移した例はある。
にもかかわらず、日本企業の対中投資額は2005年、前年より20%以上多い60億ドル超に達し、2006年上半期の数字からもおおむね堅調な投資動向がうかがえる。経済産業省によると、中国で事業展開している日系企業の現地雇用者数は2006年、推定140万人(前年比18%増)に上った。それに対してインドでの雇用者数は5万5000人に過ぎない。
■2007年 日本の最大貿易相手は中国に
温家宝・中国首相の訪日の背景には、こうした経済的結びつきの深まりがあった。日中間の貿易額は昨年初めて2000億ドルの大台を突破。2007年には、香港を除く中国本土が米国を抜いて日本の最大貿易相手国になると見られている。
温家宝首相の思惑は、昨年10月の安倍晋三首相による北京訪問の意義を強化することだった。双方はその際、政治的・歴史的相違は脇に置き、「戦略的互恵関係」の構築を目指すことで合意している。
■2010年 広州にあるホンダ、日産、トヨタの工場で100万台生産
後略
[04月16日??時??分更新]
引用元:日経ビジネス(日経新聞)
対中投資の減少をどうみるか(2006/11/17)
日本の対中投資が2006年に入って大きく落ち込んでいる。1−9月期は前年同期比30%以上のマイナスになった。03年から3年連続で過去最高を更新し続けてきた日本の対中投資の急減は何を意味するのか。
世界規模で減少
対中投資が減っているのは日本だけではない。欧米諸国の多くも減少傾向にある。世界全体からの対中投資は昨年が0.5%の減少、今年1−9月期も1.5%のマイナスとなっている。米国は02年の54億ドルをピークに3年連続で対中投資が減少しており、昨年はピーク時に比べ、43%減の31億ドルにまで落ち込んだ。
こうした流れの説明でまず最初にくるのは、「投資一巡」説だ。もちろん企業の設備投資は永遠に拡大を続けるわけではなく、エレクトロニクス、自動車などで中国生産拠点がある程度出そろったのは間違いない。
だが、世界経済が依然として4%台の高成長を続け、途上国、産油国などでモノの需要が勢いよく伸びる中で、「世界の工場」たる中国の生産拠点の増設が鈍るのもやや違和感がある。
世界を見渡せば、自動車工場はインド、ロシア、北米、南米などで新増設が続いており、液晶テレビは欧州、メキシコなどで組み立てラインが新設されている。日本国内は半導体、薄型テレビ、自動車から工作機械、建設機械などの工場の大型投資が盛り上がっている。
対中投資が減少に転じた原因には、中国固有の問題があるとみるべきだろう。
立ちはだかる貿易摩擦
中国の投資環境は急激に悪化している。人件費はこのところ毎年、最低賃金が10%前後引き上げられるなど急上昇している。早晩、「人件費の安い」という形容句は中国からはずされるだろう。電力や輸送用燃料などエネルギーの不足も続いてる。
だが、外資を最も悩ませているのは、貿易上の様々リスクだろう。貿易摩擦では、対米、対EUをはじめ世界とあつれきを起こしている。「中国で生産したばかりに欧米に輸出できない」といった事象は繊維、靴などで現実化したが、他の分野にも広がるのは避けられない。
日本もかつて貿易摩擦を引き起こした鉄鋼では、06年1−9月の中国の鉄鋼輸出は3616万トンに達し、世界最大の鉄鋼輸出国になった。中国国内で余剰となった鉄鋼が売り先を求め、世界に流出する構造で、中国の鉄鋼メーカーの余剰生産能力をみれば、鉄鋼貿易摩擦が深刻化するのはまもなくだろう。貿易摩擦の余波は外資も直撃する。
貿易摩擦と比例して人民元に対する切り上げ圧力は一段と高まっている。中国政府は市場における人民元の緩やかな上昇を容認しており、人民元は着実に切り上がっている。中国からの輸出品の競争力は当然弱まる。
最近では環境対応、移転価格税制などで想定外の負担を外資が強いられるケースも増えている。中国政府の外資政策では、労働集約型の外資の工場はもはや不要であり、高度な研究開発機能の移転が外資の進出条件になりつつある。
外資から見放される中国
究極の出来事は「三顧の礼」で誘致した外資への突然の立ち退き要求だろう。日本企業の進出も活発な上海市嘉定区では、地元政府が都市計画の変更を理由に日系企業10社を含む外資に立ち退きを迫っている。その中には2年前に工場ができあがったばかりという企業もあり、地元政府で誘致担当だった役人が今度は外資企業の追い出しにかかっているという。工業用地を宅地転用して地元政府が高収益をあげようという狙いで、似た事例は都市化の進む沿海部の各地で出てくるだろう。
外資の対中投資が減少するのは明確な原因がある。
中国の国内市場を狙う外資の投資は今後も続くだろうが、輸出型生産拠点の進出は激減する可能性がある。中国のモノづくりの進化を支えてきたのは、高度な技術を持ち込み、部材を現地企業に発注してきた外資の輸出型生産拠点だ。それが止まった時、中国は民族企業だけで独自にモノづくりの水準を高めていけるのか。
外資から見放される理由とその打撃を中国は考えるべき時だ。
後藤 康浩 編集委員
[2006年11月16日??時??分更新]
引用元:NET EYE(日経新聞)
〜コメント〜
日経新聞は対中投資を積極的に報道してきた過去が有りますが、NET EYEと日経ビジネスとの内容が剥離し過ぎではないでしょうか?
どのみち環境汚染や人権侵害、日本に対する敵対感情からの不平等な対応など、豊富なチャイナリスク(※)
※:チャイナリスク - Wikipedia
- 参考
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『チャイナ・リスク』黄 文雄 著