「意図的に悪意をもって伝えられた日本の毛布支援」
東京財団が提案し、多くの日本人から送られた毛布がイラクのサマーワに届けられた。その毛布の数が2万6千枚を超えたことから、日本人のイラクに対する二つの思いが私には伝わってきた。
ひとつは、イラクの人たちに自分が出来る何かをしてあげたい、という純粋な善意だ。そしてもうひとつは、サマーワに毛布を送ることで、少しでも派遣されている自衛隊員とイラク、サマーワの人たちとの関係がよくなることを願った善意だ。
その善意は確実にサマーワの人たちに伝わり、日本人の善意は喜んで受け止められた。
しかし、サマーワにその善意の毛布が届けられてしばらくすると、こうした事実とは全く異なる報道が日本国内でなされた。イラクの人たちは日本から送られた毛布が中古であることに腹を立てたというのだ。そして日本から送られた毛布は使われずに放置されている、といった印象の報道がなされたのだ。
事実は全く異なる。日本から届けられた毛布は確実に現地で使われているのだ。そもそも、東京財団がサマーワに毛布を送ろうという計画を立てたのは、現地の病院には毛布が無く、入院する患者が病院に自分で毛布を持ち込まなければならないということに起因していた。
先般も「捏造される日本の報道」という報告をしたが、サマーワ総合病院の院長であり、日本の外務省が去る5月に日本に招待したラスール院長は、日本の報道に嫌気がさし、責任あるサマーワ総合病院の院長という立場に居続けることが嫌になり辞任している。
ラスール医師はサマーワ総合病院の院長であり続ける限り、日本の報道陣を相手にしなければならなかったし、彼の発言内容はその度に、事実とは異なるように編集され報道されるからだ。彼に対する質問は、「常に日本の対応に対するネガテイブな答えが返ってくるように仕組まれたものであった」と彼は語っている。述べるまでも無く、「自衛隊のイラク派遣に反対」の立場を強化する目的で編集されているのだ。
日本から送られた毛布も例外ではなかった。イラクの一部医療関係者のなかには、日本から送られる新品の毛布を病院の患者に配るのではなく、転売し金儲けをしようとしていた人たちがいたようだ。彼らにとっては日本から送られたもののなかに、中古の毛布が含まれていたことが腹立たしかったのだ。そのことを私に知らせてくれたのは他ならぬイラク人だったのだ。
日本で毛布の寄付を国民の皆さんに呼びかける場合、たとえご好意とはいえ、使用に耐えられないような、ひどい状態のものは当然除外されている。したがって、今回サマーワに送った毛布のなかには、そのようなひどい状態のものは一枚も無かったはずだ。
報道する側は、サマーワの病院に毛布が常備されているのかいないのか確認したのだろうか。そして常備されていない場合その原因は何故なのか、そして、日本から送られた毛布が本当にサマーワの病院で使われていないのか確認したのだろうか。答えは明白だ、報道したテレビ局は何一つ確認せずに、あたかも「日本から送られた毛布は古くて使用に耐えない品物であり、イラク人を侮辱するものだった」という前提で番組を作ったのではないのか。
サマーワの病院に毛布がそろえられていないこと(その理由は前記のとおり)、サマーワの病院では日本から送られた毛布が、実際に現在使われていることは事実だ。
加えて言おう。日本からの医療支援が不満足だという意見が出た頃、現地の自衛隊は何をどのようにして、どの程度援助するか、できるのかを調査し、日本政府に対し支援を求め部分的に支援物資が届き始めていた時期だったのだ。その段階では、サマーワ側が日本からの医療支援を一部しか受け取っておらず、不満があるのは当然のことであったろう。
しかし、当時すでに自衛隊の医療チームは十分にサマーワの人たちの期待に答えていたのだ。ここまで書けば事実がどうなのかをご理解いただけたと思う。日本人の善意はサマーワの人たちに届き、十分に喜ばれているのだ。日本から送られた毛布が中古であることに不満を述べていたイラクの女性は、自分のモラルとエチケットの低さを恥ずべきであろう。
また、それをことさらに取り上げ、自衛隊や日本人の善意は、あたかもイラク側から拒否されているような報道をする、報道陣も恥を知るべきであろう。
[8月08日??時??分更新]
引用元:東京財団
〜コメント〜
マスメディアの報道姿勢を批判するのは日本人だけでは無い様で、イラク支援問題で一番迷惑をかけているのはマスメディアかも知れませんね。
新聞紙では他紙を批判する記事が出てくるようになりましたが、テレビではまだまだ護送船団或いは談合とでも言える横並びな報道が多く感じられます。
自浄作用を強調する報道業界ではありますが、電通などの影響力から逃れた報道はいつ頃出来るようになるのでしょうか・・・(※)。
※:肥大したジャーナリズム背後にいる電通の威力
※:メディア戦略(言論封殺)
- 本
- イラクの中心で、バカとさけぶ
- 参考
- イラク共和国−外務省
- イラク情勢−共同
- イラク情勢 : ニュース特集 : YOMIURI ON-LINE
- asahi.com : ニュース特集 : イラク情勢
- 産経Web | SPECIAL イラク情勢