「沖ノ鳥島は岩礁」中国主張を検証 南沙諸島で岩礁基地化 抱える「自己矛盾」
調査船活動を正当化
北京で先月下旬に行われた日中政府間協議で、中国側は日本最南端の領土である沖ノ鳥島を「岩礁であって島ではない。よって日本の排他的経済水域(EEZ)は設定できない」と主張した。同島周辺で活発化している中国海洋調査船の活動を正当化する主張ともみられるが、中国自身もスプラトリー(中国名・南沙)諸島など南シナ海ではこうした「岩礁」を実効支配の根拠としているだけに、その矛盾は明らかだ。中国の意図を検証する。(北京 野口東秀)
外交筋によると、中国側が沖ノ鳥島を「岩礁」として、EEZ設定の根拠とみなさない論法をみせたのは、先月の協議より早く昨年十二月だった。この時期は、中国の海洋調査船が沖ノ鳥島周辺で、活動を活発化させ始めた時期とほぼ一致する。
中国の海洋調査船は、これまで日中中間線をはさむ東シナ海周辺が主な活動域だった。領海侵犯などトラブル回避のため、日中両政府は二〇〇一年に相互事前通報制度も導入した。
ところが、今年一−四月に発覚した中国調査船の事前通報違反十一件のうち、半数は沖ノ鳥島周辺に集中。中国船の太平洋進出は〇二年ごろから同島のかなり北側海域で目立っていたが、中国側が同島周辺の調査を急いでいることが違反状況からもうかがえる。
この沖ノ鳥島は、高さ約一メートル、直径わずか数メートルの二つの岩からなる。日本政府はコンクリート製の護岸施設で波浪による侵食からこの領土を守っている。
水没すれば、半径二百カイリにわたる周囲のEEZが失われ、国家的損失となるためだ。
領土・領海の基本ルールである国連海洋法条約は、「島」の定義として「自然に形成された陸地であり満潮時にも水面上にある」と規定。日本政府は沖ノ鳥島が小さいながらこの規定を満たすとして、同島を「岩礁」ではなくEEZをともなう「島」としてきた。
中国側の主張は「人間の居住ができない岩はEEZを有しない」との条文を根拠としたもので、「沖ノ鳥島は岩。よって周辺は公海となり、調査船の活動は正当。事前通報の義務はない」との筋書きだ。
しかし、専門家からは中国の主張は「自己矛盾とも言える」との声が上がっている。
中国、台湾など六カ国・地域が領有権を争うスプラトリー諸島で、中国側はミスチーフ環礁(中国名・美済島)などのまさに「岩礁」にコンクリート製の人工島を建設、武器やレーダー設備とともに兵員を駐留させて「実効支配」を堂々と主張している現実があるためだ。
軍事関係者は「八〇年代後半には岩礁に『漁民の避難所』と称して掘っ立て小屋を建てていただけだったが、いまでは完全に軍事基地化している」と指摘する。
日本が九六年に国連海洋法条約を批准し、沖ノ鳥島を軸にEEZを設定して以降、中国はこれまで異議を唱えてこなかった。スプラトリーの“矛盾”を中国自身が抱えるだけに、「沖ノ鳥島は岩礁」との主張は短期的なものであり、同島周辺での調査船の活動が終わるまでの「時間稼ぎ」との見方もある。
ここまで強引な主張を中国側が繰り出す背景には、中国の海洋調査船の活動が軍事目的を兼ねている可能性があるからだ。
中国の海洋調査は、海底の資源探査に加え、海図作製、さらには海水の温度分布など潜水艦の航行に必要なデータ収集に及ぶと日米の軍事筋ではみている。
軍事関係者は「海洋データが軍事的に使われるのは常識」と指摘する。これまで中国海洋調査船の活動は観測点が碁盤のように密になっていることからも、潜水艦航行のデータと推定する専門家が多い。
海洋調査船が東シナ海から太平洋に進出してきた背景には「中国海軍が日本列島−沖縄−台湾−フィリピンといういわゆる第一列島ラインを越え、小笠原諸島から硫黄島を含む第二ラインに進出してきた」との指摘が強い。
活動ラインの外洋拡大は、統一問題を抱える台湾の背後をうかがい、米軍の戦略拠点であるグアム島をにらむ潜水艦の活動が強く想定されている。
[5月08日02時48分更新]
引用元:産経新聞(goo)
〜コメント〜
中国海軍の海洋支配力を強化する為に沖ノ鳥島を岩礁とし、日本の排他的経済水域(以下EEZ)としての主張は認められないと主張しだしたわけですが、同じ様に環礁からなるスプラトリー諸島を実効支配による領有権の主張をしているわけです(※1)。
その根拠となっているのが建造物であり、中国人(軍人)の定住としています。しかし、沖ノ鳥島にも建造物はあります(※2)。これは産経新聞が指摘するとおり、大きな矛盾と言えるでしょう。
記事内にもあるように、日本のEEZ内でのこの活動は、やはり潜水艦などの軍事目的にされている可能性がある以上、日本はアメリカ軍と共同演習という名目を利用するなどして排除する必要があるのではないでしょうか?
海洋国家である日本の生命線を台湾共々封鎖しようとしている恐れが感じられます。
以前に中国が潜水艦を大量輸入した際に、中国の調査船が尖閣諸島を中心としたEEZでの調査を中国海軍の行動と勘繰った記事を書いたわけですが(※3)、5月になってそれが海底資源の為の調査と同等のモノで有った事と認識しようと思います。
日本の主権が著しく侵害されている状況に、マスメディアは何もしようとは思わないのでしょうか?イラクだけがジャーナリズムの真価を占う場ではないのですがね。
同じ命の危険を伴う報道をするのであれば、日本の主権保護の為の報道に重点を置いて欲しいですね。何もしない外務省を動かす為にも、是非とも頑張って頂きたい。
※1:スプラトリー諸島を巡るアジアのバランス
※2:よみうり写真館
※2:沖ノ鳥島写真館
※3:尖閣周辺での海底調査は潜水艦導入の為?
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参考
- 沖ノ鳥島番外地
- 環境情報 世界の状況
- TOPIC No.7-15 南沙諸島問題